『火鳳燎原』とは?

香港の漫画家、陳某氏が香港・台湾の雑誌で連載している三国志漫画です。
(原題 三國群英傳 火鳳燎原 The Ravages of Time)
日本では「三国志マガジン」(メディアファクトリー刊)にて翻訳版が連載されていましたが、雑誌が休刊の憂き目に。
その後YAHOO!コミックにてwebコミックとして無料配信されるも、こちらもコーナーの消滅に伴い配信が終了しました。
邦訳版の再開は絶望的です。


どんな作品?

現地では少年漫画雑誌に連載されていることもあり、キャラクターをカッコよく描くことに
重点が置かれた作品です。(雰囲気的には一昔前の少年漫画に近いものがあります)

かといって内容が疎かにされているわけではなく、作者自身も語られているように
謀略の掛け引きはしっかり描かれていますし、三国志ならではの一騎打ち、
10巻以降では大軍同士の戦争も、迫力ある絵でカッコよく描かれています。
三国志を知っているとニヤニヤできる台詞も多く、少年漫画的なノリの熱い三国志が
読みたいという人にオススメです。
ちなみに、次巻への引きがとても上手いので、単行本で読むと楽しさは倍増します。


演義と正史、どちらよりの作品?

どちらかといえば演義よりです。作中には槍も鐙も存在しています。ただ、陳某氏は
「演義と正史、どちらにも足りない部分があり、足りない部分から見える真実を発表したい」
と語っているので、両方のエッセンスを抽出した作品であると言えるでしょう。

一応、念のために言っておきますと、この作品のストーリーは演義や正史を
ただなぞっているわけではないので、その点だけは留意しておいてください。


オリジナル設定は?

オリジナルキャラクターについて。
主人公の司馬懿が世に出ていない頃から物語が始まるので、自然とオリジナルキャラが
幅を利かせています。しかし、序盤のうちは出番が多い彼らも、実在の人気のある人物が
出揃ってくると、どんどん影が薄くなっていきます。
キャラの能力的にも、基本的に実在の人物の方が優れていますし、10巻以降は
オリジナルキャラメインの話と、そうでない話のメリハリが利いているので、
作者が空気を読んでいるのは間違いありません。

●●がカッコ良すぎる!or悪すぎる!
登場人物が実際にはどんな容姿・性格だったか、現代の私たちは想像することしかできません。
それに、漫画ではよくあること。

改変された部分について。
まず実在の人物の設定について。
司馬懿や燎原火、八奇の面々のような重要キャラはほぼ同年代に、そして初登場時に
十代後半〜二十代前半になるように年齢が改変されています。
そんな彼らをライバル同士にすることで、少年漫画的な熱い展開を生むのが狙いだと思われます。
八奇についての補足として、これに属する人物たちには「一人で万事をこなす名軍師」
という設定があります。中には軍師と呼ぶべきでない人も混ざっていますが、
「内政も軍事もこなす智者」であると考えれば、なんら問題ありません。

時系列や事跡については、大なり小なり改変されている点がいくつかあります。
そういった箇所は、物語の展開上仕方なく、例えばスムーズな話運びのためだったり、
何かしらの意図や仕掛けが仕込んであったりする場合がほとんどです。
だから気にするのはやめましょう。楽しんだもんが勝ちです。


現地ではどこまで進んでる?

烏巣奇襲が終わり、曹操陣営が反撃の狼煙を上げそうな予感。

三国の勢力的には、
曹操は袁紹と官渡にて激突し、その結果彼を退かしめ、
劉備は袁紹の下から脱し、汝南にて兄弟らと合流、
孫策は刺客に襲われた怪我がもとで死亡しました。




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