原典での官渡の戦い

  連載の方ではいよいよ官渡の戦いが始まりました。
この曹操と袁紹の戦いは様々なことが立て続けに起こるので、何がいつ起きたのか正直分かりづらい。
そこで理解と予想の一助となるよう少しまとめてみました。
事績の順序が間違っていたり、見落としがあったらスマソ。


【正史年表】
正史の記述を元に、西暦200年(建安5年)に曹操と袁紹の周りで起きた出来事を年表にしてみました。

関連事項
正月

董承らの曹操暗殺計画が漏洩、全員処刑される。(第291回)
田豊、袁紹に曹操の背後を突くよう献策するも容れられず。(第296回の元ネタと思われる)
曹操、劉備を征討しその妻子を捕らえ、関羽を降伏させる。(第293,295,296,298回)
劉備、青州へ走り、袁紹、これを出迎える。(第300回)

二月

田豊、南進を諫めるも、袁紹はこれに激怒。田豊、投獄される。
袁紹、郭図・淳于瓊・顔良に白馬(太守・劉延)を攻撃させる。(第312回)
沮授、袁紹が顔良一人に任せることを諌めるが聞き入られず。

四月

荀攸、敵勢力の分散を進言。曹操、その策に従い軽鋭の兵を率いて白馬へ赴く。
袁紹、敵の黄河渡河を聞き、兵を分ける。
先陣の張遼・関羽が顔良を撃破。顔良死亡。(第315回)
沮授、全軍の官渡進軍を諫めるも、袁紹の不興を買い、統括していた軍を取り上げられる。
袁紹、渡河し延津の南に砦を築き、文醜と劉備を出陣させる。
徐晃・荀攸、文醜・劉備を大敗させる。文醜死亡。
曹操、官渡へ戻り、袁紹、陽武に進軍する。
関羽、劉備の下へ走る。

沮授、袁紹に持久戦を進言するが聞き入られず。
許攸、袁紹に天子奪取を進言するも容れられず。

孫策、暗殺される。(四月四日)(第316回)
汝南の劉辟らが謀反し、袁紹、劉備に彼らの救援を命じる。
曹仁、劉辟らを征討する。

八月

両軍ともに幾重にも陣を連ねて合戦するが、曹操が敗れ砦に引き返す。
両軍、官渡にて対陣。
袁紹、物見やぐらから敵陣に矢を射込ませる。曹操、霹靂車を作りこれを打ち砕く。
曹操、荀攸の策を用い、徐晃・史渙に敵の輸送車を襲撃させる。
戦が長期に渡ったため、曹操軍の兵糧は欠乏し、寝返る者も出始める。
荀彧、曹操を励ます。

十月

袁紹、淳于瓊らに輸送車の護衛を命じ、淳于瓊はそのまま烏巣に着任。
沮授、曹操による略奪への対策を進言するも容れられず。
許攸、曹操に寝返り、烏巣襲撃を進言。荀攸・賈詡がこれに賛同。
曹操、曹洪・荀攸に留守を任せ、自ら軽鋭の歩兵騎兵を率いて烏巣を急襲。
袁紹、騎兵を派遣し淳于瓊を救援させ、張郃・高覧に曹洪を攻撃させる。
烏巣が落ち、淳于瓊死亡。この報を聞いた張郃・高覧が曹操に降伏。
軍が総崩れとなり、袁紹・袁譚、軍を捨てて逃亡。
沮授、捕虜になる。曹操、彼を厚遇するも、脱走されたため処刑。沮授死亡。
曹操、書簡を焼く。
袁紹、帰還した後、獄中の田豊を殺害。田豊死亡。


本当は袁家の滅亡までまとめたかったんですが、途中で力尽きました。



【演義での一騎打ち戦績】
演義で「白馬の戦い~袁家滅亡」までに描かれた一騎打ちの戦績をまとめました。

戦績
第25回

宋憲× 顔良(三合も戦わないうちに斬り落とす)
魏続× 顔良(一合で斬り落とす)
徐晃× 顔良(二十合戦うが、徐晃逃げ帰る)
関羽 ×顔良(一太刀で刺し殺す)

第26回

張遼× 文醜(文醜の放った矢を頬に喰らい、張遼落馬)
徐晃× 文醜(文醜の軍勢が向かってきたため、徐晃退却)
関羽 ×文醜(文醜、三合も戦わないうちに逃亡するが、追いつかれ一撃で斬り落とされる)

第30回

張遼△ △張郃(四、五十合戦っても勝負がつかず)
張遼・許褚△ △張郃・高覧(上記の戦いに二将が加勢)
徐晃 ×韓猛(激しく戦うも、韓猛、防ぎきれず退却)
張遼 ×蒋奇(一撃で斬り落とす)

第31回

史渙× 袁尚(袁尚、三合も戦わないうちに逃げるが、追撃する史渙を振り向きざまに射殺)
許褚△ △趙雲(二度戦う。一度目は三十合戦っても勝負がつかず)
高覧 ×劉辟(三合も戦わないうちに斬り落とす)
高覧× 趙雲(一撃で突き落とす)
張郃△ △趙雲(三十合戦っても勝負がつかず、張郃が偽退却)

第32回

張遼 ×袁尚(三合も戦わないうちに逃亡)
徐晃 ×汪昭(袁譚の大将。数合も戦わないうちに斬り落とされる)
呂曠 ×岑璧(呂曠は袁尚、岑璧は袁譚の大将。数合も戦わないうちに斬り落とす)
許褚 ×尹楷(武安県の相で袁尚の檄文に応じる。一撃で斬り落とされる)
張遼 ×沮鵠(沮授の息子。三合も戦わないうちに逃亡するが、追撃した張遼に射殺される)
徐晃 ×審配(審配、生け捕りにされる)

第33回

徐晃 ×彭安(袁譚の将。数合も戦わないうちに斬り落とされる)
曹洪 ×袁譚(曹洪、刀をふりあげメチャクチャに斬りつけ討ち取る)
楽進 ×郭図(逃げようとしたところを射られ、壕に転落)
張遼 ×蹋頓(烏桓族の王。張遼に斬り落とされる)


張遼と徐晃が活躍しすぎワロタw
これらの内、実際にどれだけの戦いが描かれるか非常に楽しみです。



【参考文献】
『ちくま学芸文庫 正史三国志』
『ちくま文庫 三国志演義』(井波律子訳)

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