火鳳燎原』第六巻

 各話の副題
 主な登場人物

  ここには各話のあらすじを載せます。

  登場人物の台詞は緑色、
  解釈が怪しげな部分は赤くなっています。


  ここには、補足的な解説や私見を載せます。


第四十二回 大人物
荀ケ、袁紹、袁方、袁尚、文醜、張郃、袁遺、公孫瓉、王匡、孔伷、劉岱、橋瑁

 一月、関東の各地で董卓討伐の兵が起こった。
各諸侯は皆、数万の兵を率いて酸棗に駐留した。

 そこに袁方への信書を携えた飛脚が到着した。
彼を主に引き合わせるため、新米将校の張郃が幕舎へと案内した。
幕舎では終日、軍議が行われているという。
しかし彼らがそこで見たものは、軍議などではなく飲めや歌えの馬鹿騒ぎだった。
憤る張郃を尻目に、飛脚はこの同盟は各々が併呑しあう事こそが真の目的だと言う。
事実、諸侯の一人・孫堅が董卓追討のための軍を起こしても、誰一人として
援軍を送ろうとはしなかった。
それは袁紹とて例外ではなく、若者は袁紹には更なる野望があると見抜いていた。
この飛脚こそが袁方の弟弟子にして、漢高祖の軍師・張良に匹敵すると言われる
水鏡八奇の二奇・荀ケだった。

 一月十八日、荀ケは袁紹の招聘を断った。
それから二ヵ月後、酸棗の兵糧は尽き、各諸侯は軍営を解き四散した。
諸侯の一人・劉岱は兗州へ帰る途中、橋瑁の本拠地・東郡を奇襲、
橋瑁は篭城中に兵糧が尽き、戦死した。


 この回の一つ前の回(第四十一回)には、本名こそ明かされていませんが、
曹操が登場しています。(武将から阿瞞と呼ばれている人物がいます)
曹操軍が董卓軍を追討している場面だと思われます。



第四十三回 仁者無敵
曹操、荀ケ、夏侯惇、夏侯淵、曹仁、曹洪、李典
袁紹、袁方、袁尚、文醜、審配、韓馥、耿武、司馬徽(水鏡先生)、三〜八奇

 酸棗の兵糧が尽きたため、各諸侯は軍営を解き撤退を開始した。
関東軍は有名無実と成り果ててしまった。
軍営の外には戦災難民が溢れており、袁紹や韓馥らは彼らに余剰物資を
施すことで名を高めようとしていた。

 そのころ、二奇・荀ケは曹操軍の将軍・李典と共に、敗走した曹操たちを出迎えていた。
そして彼らの下にも難民が現れた。
夏侯惇ら譜代の将たちは、これで荀ケの実力を計ろうとした。
彼らは荀ケも施しをするものと思っていたが、荀ケは
「兵糧は戦争に用いるものです。彼らには帰ってもらいましょう」
と、にべもなく言った。
 その言葉は難民たちにも聞こえていた。彼らは言った。
「我々がなぜ物乞いをせねばならんのですか?」
と。彼らは関東軍が戦乱を治めてくれると期待していた。
しかし実情は誰も動こうとせず、兵糧も難民に分け与えるほどあるのに
尽きたと言って兵を退いた。
誰も信じられない中、ただ曹操だけが董卓を追討し、敗北してなお酸棗に留まり
再戦を期している。
「曹操さま。天下が乱れても、米袋一つでは人の心はつかめませぬ。
戦乱で餓死するくらいなら・・・心ある人に身を投じ、国のため尽力します!
曹操さま、我々を収め、貴方が天下をお取り下さい!」


 荀ケは彼らを収めるための最も効果的な時期、そして民衆の心理を掌握する術を
心得ていたため、徴兵をせず、兵糧を用いることもなく膨大な数の兵を収めてしまった。
更に彼らは普通の難民とは違っていた。酸棗に集まっていた元黄巾賊だったのだ。
そのためすぐにでも実戦で使えるうえ、各地に散った仲間たちも噂を聞いて集ってくるだろう。
荀ケはそこまで見通していた。
「もし彼が張角だったら天下を手にしていただろう。
しかし彼は・・・我々の張良だ!」


 解体される軍営を見ながら、司馬徽は弟子たちに向かって言った。
「孫堅、曹操、お主らが仕えるべき主はこの二人のみじゃ!」
その場にいた六人の内、三人だけが賛同した。
怪訝に思った司馬徽が問うと、残りの三人が言った。
「天下は広く、有能な者も多い・・・」
「先生は名君が二人だけだと断言できるのですか?」



 司馬徽の言葉に賛同しなかった三人は、三奇・賈詡、六奇・龐統、
七奇・臥龍
だと思われます。

 では賛同した三人はというと、四奇・郭嘉、五奇・周瑜は判明しているのですが、
後一人、八奇がいまだ謎のままです。
一般的には陸遜だろうと言われており、十中八九そうなんでしょうが、
個人的には大穴として孫権を推したい。ありえませんか?



第四十四回 兵法之詭道
劉備、関羽、張飛、袁紹、袁方、文醜、袁尚、袁遺、
公孫瓉、王匡、韓馥、孔伷、潘鳳、呂布、華雄

 兵とは詭道なり。(孫子兵法 計篇)

 遠くへ行くなら近くへ行くふりをし、近くへ行くなら遠くへ行くふりをする。
戦上手は下手なふりをし、攻めるべきときは攻める気が無いふりをする。
真を偽となし、偽を真となす。

 諸侯たちは軍を率いて虎牢関に集い、開戦のときを待っていた。
ここ虎牢関は四方を山に囲まれ、守るに易く攻めるに難い。
董卓軍の狙いはこの地を堅く守り、関東軍の兵糧を消耗させ、自壊させることだった。
関東軍はたとえ今から撤退しても、し終えるまでに兵糧が尽きてしまうため、
決戦を余儀なくされた。

 戦に参加する、各諸侯の部将たちの名が読み上げられていた。
名のある武人が数多く集まっている中、場違いとも思える下級兵の名が呼ばれた。
「馬弓手劉備」
その場にいた者、皆が彼とその仲間を嘲り笑った。
しかし劉備は気にも留めず、部将たちの待機場所へ向かった。

 そこでも彼らに対する扱いは酷いものだった。
散々罵倒されて逆上した張飛が、部将の一人潘鳳と一触即発となったそのとき、
劉備が土下座し、張飛の代わりに罰を受けると言った。
黙って打たれる劉備。
関羽と張飛は怒りを堪えつつも、黙って見ていることしかできなかった。

「戦上手は下手なふりをし、攻めるべきときは攻める気が無いふりをする。
孫子はこれを用兵に用いたが、俺はこれを人となりに用いている。
もしここで詭道をなさねば・・・
俺たちはただの賊のまま、いつまでたっても成り上がれんぞ!」



 邦訳版を読んで氷解した疑問が一つあります。
関東軍が酸棗から撤退して虎牢関前に陣取った件です。

 撤退するのであれば、普通は敵地から離れた方角に逃げるはず。
何故よりによって「酸棗より西の」虎牢関へ向かったのか?
答えは一つ、虎牢関、もしくは酸棗の位置が変えられていたからだったんですね。

 思えば初期の話ではシナリオの都合上、他にも位置関係が変えられている場所があります。
一つは河内郡が兗州にある点。
もう一つが河内から長安に出発した小孟が、なぜか界橋にいた点。
特に後者はいくらなんでも無理がありすぎます。
紫王は小孟をどんだけ長い間連れまわしたんだと。

 いくら凝った話を作るにしても歴史ものである以上、こういう事はもう止めて欲しいですね。



第四十五回 笑有出頭天
劉備、関羽、張飛、袁紹、袁方、袁遺、公孫瓉、王匡、韓馥、孔伷、
潘鳳、兪渉、華雄、山無陵、山無陵の弟、敗将老大、敗将老二

 関東軍が山あいの狭い地に陣を敷いて三日経った。
その間、関東軍から攻めることは一度もなかった。
華雄はそのことを訝りつつも、敵の別働隊を危惧して虎尾関に兵を送った。
兵を割いたため、両軍の兵力はほぼ互角。しかも敵には動く気配もない。
痺れを切らした華雄は、一騎打ちを申し入れた。

 華雄は袁方の策に嵌った。
兵力が互角なら、その勝敗は士気の高さが鍵を握る。
一騎打ちは士気に与える影響も大きく、しかも兵を損じることもない。
袁方は集めた部将の中から、あらかじめ二十人程度の猛者を選りすぐっていた。
そしてその中には彼らの自尊心を刺激するために、馬弓手の名も入れていた。

 袁方の目論見どおり、部将たちは殺気が漲っていた。
その中から、兪渉が先鋒を願い出た。
兪渉は袁紹から酒を賜り、意気揚々と一騎打ちの舞台へと上がった。


 この回で山無陵や敗将老大が初登場していますが、気になるのは山無陵の弟です。
29巻現在、このキャラが登場したのはこの場面のみ。
まさか作者に忘れられているということも無いでしょうが、山無陵の正体が分かった今、
彼がどんな形で再登場するのかとても楽しみです。



第四十六回 極度自信
劉備、関羽、張飛、袁紹、袁方、袁遺、公孫瓉、
王匡、韓馥、孔伷、潘鳳、兪渉、呂布、張遼、華雄

 兪渉は華雄とたったの二合打ち合っただけで敗れた。
その後も華雄は連戦連勝し、立て続けに十二人の猛将を討ち取った。
一方、関東軍では頼りの袁紹軍の顔良は不在、文醜は怪我が癒えていない。
部将たちが意気消沈している中、潘鳳だけが張り切っていたが、やはり敗れた。

 突然、劉備が笑い出した。これを公孫瓉が咎めると、劉備は言った。
「公孫瓉殿、今は笑うべき時でしょう!
あなた方のやっていることは、相反している。
洛陽の近くでは戦わず、遠く離れれば戦い始める。
兵糧が有れば日夜歌い騒ぎ、兵糧が無くなれば悲壮にくれる。
大勢で一人を欺く者たちがいれば、一人なのに大勢を殺す者もいる。
無能な者が大口を叩いているのに、有能な者は白い目で見られる。
軍師殿は全てを相反させてらっしゃる…。
それじゃあ、死ぬ者があれば…笑う者がいるべきでしょう?」


 これには潘鳳の主・韓馥が怒ったが、劉備は全く動じない。
 袁方が杯を献じながら言った。
「では、その自信に満ちた笑みと大口には、他の者との違いが有るんだな?」
「違いならある。能力です」
「後にこの杯を干す者が現れないこともだな」


 一人の男が進み出て言った。
「もしその酒が冷めても華雄が生きていたら、
そのときは兄者の首を刎ねてくだされ!」



 潘鳳と兪渉弱すぎ。
 この作品の登場人物の強さは、

光栄ゲーで武力90以上の人たち(超人。雑兵百人皆殺しなど造作なくこなす)
>(壁)>その他大勢の猛将たち(敵軍の中を単騎駆けできる程度)>(壁)>雑兵(凡人)


こんな感じで分かれており、弱いキャラが成長する展開を望めそうにないのが残念です。
(精神面での成長は描かれています)
 まあ、「三国志にそんな描写がなされていて、かつ武勇に優れた人物がいるか?」
と問われると、答えに窮してしまうわけですが。



第四十七回 天意難測
劉備、関羽、張飛、袁方、袁遺、公孫瓉、王匡、韓馥、孔伷、呂布、張遼、華雄

 馬上で片膝を着き、奇妙な姿勢で出陣した関羽。
華雄はそれを気にも留めず、大刀を振り下ろした。
しかしそこにいたのは馬だけだった。
 関羽は跳んだ。
次の瞬間、華雄の右腕は切り飛ばされていた。
驚愕する観衆たちの中で、ただ一人冷静な袁方が、兵に出陣を命じた。

 関東軍の騎馬隊が一斉に出撃した。
副将たちに守られながら退却する華雄。
南からは伏兵も現れ、絶望かと思われたそのとき、呂布が救援に来た。

「張遼!華雄殿を軍営に送り、手当てを!
華雄軍の副将たちは、俺について敵の包囲を解け!」

歓喜する副将たち。
味方の下へ駆け戻る副将らを、華雄は無言で見送った。
すれ違いざま、呂布が言った。
「華雄殿、あなたは本当に頭痛の種だ」

(頭痛?そうだな、わしの身勝手が大事を誤らせた。
だがそれも、お前がそうさせたのだぞ。
わしは殿と生死を共にして二十年、それに引き換えお前は仕えて間もない。
呂布よ、わしはお前に嫉妬しておるのだよ!)


 張遼が馬を寄せつつ言った。
「華雄殿、あなたは殿の頭痛の種です」
「張遼、わしの身勝手もこれが最後だ」
「いや、殿はあなたが頑なに頭痛の種であり続けると言ってますよ」
「わしが?それは…わしが討ち死にしなかったからか?」
「そう…殿の頭痛を治すには……
あんたに消えてもらうのが一番なんだよ!」

張遼の三尖刀が華雄の胸を貫いた。


 張遼の得物が三尖刀なのに、紀霊の得物が斧ってのは何かの嫌がらせですか?



第四十八回 天気好了
呂布、張遼、華雄、宋憲、魏続、侯成

 七日前。董卓軍が長安に入った後、呂布が提案した。
策を用いて敵の兵糧を消耗させ、然る後に虎牢関にて関東軍を殲滅すべきだ、と。
百官はその案に賛同した。

 しかし呂布の虎牢関への出兵はただの口実に過ぎず、その真の目的は
権勢を固める上で邪魔な華雄を消すことだった。
それに華雄が死ねば、彼の地位と配下の宋憲・魏続・侯成の三将が呂布に移譲される。
華雄が討ち死にすれば良し、しなくても戦死と偽って片付けることができる。

 そして、張遼が手にかけたのは華雄だけではなかった。
董璜も同じように暗殺されていた。
張遼が言うには、許臨さえも呂布にとっては董卓に近づくための駒に過ぎなかった。
呂布は、友情は友情、権力は権力、そう割り切っているのだ。
董璜が死んだ今、後継者の地位は空席となり、更に洛陽で董卓を守ったことで、
呂布の軍中における地位は揺ぎ無いものになっている。

機は熟した。


 華雄の首の飛びっぷりが、『ドラゴン危機一髪97(主演ドニー・イェン)』(だったかな?)を
彷彿させますね。



第四十九回 大魚小魚
張飛、袁方、袁尚、文醜、袁遺、公孫瓉、王匡、韓馥、孔伷、呂布、張遼

 張遼は関東軍の背後を突くべく、虎尾関へ援軍に向かった華雄の一軍と合流した。
華雄軍の将は、「関東軍の後営は堅く守られている」と訝るが、そこで彼が目にしたのは
陣営を捨て撤退する関東軍の部隊だった。

 関東軍の陣営に呂布が現れた。
兵士たちは怯えているが、諸侯は余裕の表情すら見せている。
山上に文醜の部隊が伏しているからだ。
公孫瓉は伏兵の準備を袁方に求めたが、兵士が言うには袁方は自ら山上に、
袁紹は後営の督戦に向かったという。
一抹の不安を感じた公孫瓉は、兵に山上へ信号を送るよう命じた。
 そのとき伝令によって、後営が奇襲に遭い完全に包囲されたことが告げられた。
焦る諸侯たち。追い討ちをかけるように、信号兵からは山上からの応答がないと告げられる。
諸侯は袁紹に見捨てられたのだ。

 これも袁方の策だった。
袁紹軍は自らの手を汚さず、諸侯と董卓を戦わせ漁夫の利を得た。
諸侯らは兵糧を失い、部将を失い、退路を失った。これでは士気の崩壊も必至。
公孫瓉が言った。袁紹も同じように兵糧を消耗していたのに撤退できたのは、
袁術軍が近隣に待機していたからだと。
そして、彼らは韓馥の冀州を取るべく北上しているだろうとも。
「領土争いは今後のこととして、今対するべきは、
八奇の百倍恐ろしい"人中の呂布"だ!」


 諸侯に迫る呂布。その前に袁遺が立ちはだかった。
「進退窮まろうとも、投降などすれば天下の笑い者になるだけだ!」
袁遺は方天戟の餌食となった。
(権力とは我ら凡人が手にすべき物ではない。
再び戦をすれば、ただ万民に害を為すのみ!
袁紹!我が血と命を以て、お前が天下に覇をとなえる祝いとしそうぞ!)

 袁遺の言葉を聞いて、諸侯も腹をくくった。
「そうだ!こうなった以上、死は免れん。死のうとも、尊厳ある死を!」
兵士たちが諸侯を守るべく立ちふさがるが、呂布の前にはどうすることもできない。
呂布が諸侯の目前まで達した。

「良い殺気だ。名を名乗れ」
「貴様!我ら諸侯の名を知らぬと申すか!」

そのとき、一条の蛇矛が突き出された。
「燕人、張・翼・徳」


 袁遺の死にっぷりと張飛の登場が熱い!
それに引き換え袁紹軍、もとい袁方のセコさは好かん!
大体、仮にも婚約者である娘を踏み台にして逃げるような奴は、地獄の火の中に(略
まあ、この作品における袁紹軍はどう見てもヒール役なので、嫌われてなんぼでしょう。



第五十回 成名快径
劉備、関羽、張飛、公孫瓉、王匡、韓馥、孔伷、呂布、
司馬懿、燎原火、小孟、張雷、郭昂

 呂布と互角に打ち合う張飛。それを見た諸侯や兵士は色めきたっていた。
と同時に、袁紹がこれほどの武人を不相応な地位に留めている事を不審に思った。
関羽がその疑問に答えた。
袁紹は自分たちの実力を知っているが、思い通りにならないと見るや、
このような死地に送ったのだ、と。
これは事実無根のでたらめで、関羽が自分たちの価値を高めるために
一芝居打ったのだった。

 そこにいる者、皆が関羽と張飛の力があれば呂布にも勝てると騒ぎ出した。
そのとき関羽が叫んだ。
「聞け!翼徳!
呂布は強い!我ら二人の力を併せても、勝つのは難しいだろう!」
「なんだってー!」

驚愕する諸侯ら。
「惜しむらくは達人が身を隠し、
この劣勢を見ても依然として手をこまねいていることだ!」

関羽の指す先には劉備がいた。
「兄者、万民のため今こそ起つべきではありませんか?」

 劉備にすがる諸侯たち。平原の相に推挙すると言う者や、
兵五千と米十万石を献上すると言う者までいる。
劉備は関羽に言った。
「お前は俺を盗人にする気か!」
「この世の皇帝の所有物はみな、騙し取ったか奪い取ったものなのです
某と翼徳はすでに名を広めましたが、名実共にその主たる方がまだおりませぬ。
貴方は、臣の功が主を覆い隠しても問題ないとお考えか?」

(まったくお節介な奴だ。
これがお前たちの兵法の詭道なのか…?)


 張飛と打ち合う呂布に、関羽、そして劉備が打ちかかった。
「劉玄徳ここにあり!」

 関羽・張飛の援護もあって、劉備は呂布に手傷を負わせた。
「皆あんたを見てるぜ」
「でも、俺がいたせいでお前らは呂布を殺し損ねたな」
「貴方の詭道がその人となりにあるように、我らの詭道は…
兄者、貴方の名を天下に轟かせるためにあるのです」


 呂布を敗った事で、劉備の名は天下に知られるところとなり、
その噂は司馬懿の耳にも入っていた。
その司馬懿の下に王允から手紙が届いた。
残兵を使って董卓を暗殺するよう、呂布に脅迫されているという。
司馬懿は残兵に出動を命じた。



 ここでは省きましたが、実際には戦闘中と戦闘後に呂布のモノローグがあります。
呂布の生き様がよく分かる文章なので、気になる方は実際に手にしてみてください。





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