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第五十七回 真話假話 |
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燎原火、小孟、張雷、郭昂、劉備、関羽、張飛、袁紹、顔良、文醜、呂布、張遼 |
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一九一年、袁紹と公孫瓉が私怨の戦を起こす。
初め袁氏が勝利し、界橋に追討す。
瓉、勇を奮って抵抗し、紹、功無く帰還す。
劉備らの働きによって袁紹は退いた。
関羽が、今後は袁紹に敵視されるだろうと言うと、劉備はむしろ
趙雲を助けられなかった事をこそ悔やんだ。
「いえ、彼は名を揚げる機会を一度失っただけですぞ」
燎原火は生きていた。死んだ振りをしていたのだ。
劉備は全身で喜色を表し、燎原火に駆け寄った。
そのとき、劉備が狙撃された。関羽が矢を防いだが、それを射たのは小孟だった。
張雷が馬を放った。燎原火は劉備に礼を言いつつ、その馬に飛び乗った。
その途端、崩れ落ちる燎原火。彼は劉備らに支えられつつ言った。
「知ってるかい?董卓がもうすぐ死に、天下は必ず乱れる。
今のうちに基盤を築いて、将来の大事に備えてください」
そして彼は北を指しつつ続けた。
「ここから一里先に、財物を載せた車が十台ある。
それは…あんたが理想実現の基盤を築くことへの俺からのお祝いです」
「おかしなことをする。
俺はお前を公孫瓉の部下だと思ってたんだぜ?」
「俺が公孫瓉軍かどうかは重要じゃありませんよ。
それに…劉備殿、あんたも皇叔じゃないんでしょう?」
これには関羽が反論した。
「馬鹿を言うな。兄者は中山靖王の後裔、これは紛れも無い事実だ」
「皇叔の御旗を掲げたのは間違っちゃいない。
それに劉備殿はその心をお持ちだ!
今、あんたに足りないのは天子の思し召しだけ。しかしそれもご安心を。
数日後にあんたの下に届ける方法が有りますんで」
そう言うと燎原火は去っていった。
「まったく、取り付く島もない。あの者の性格は直情的すぎますな」
「趙雲か…」
「兄貴、今回はいくらあんたでも、あいつの話を信じられないだろ?」
「俺が無敵の人相見ってことを忘れたか?」
そして舞台は長安に移る。
残兵の一行は、呂布の手引きで宮廷内に入ろうとしていた。
「火兄が進物を放置してくるとは思わなかったよ」
「なんだ小孟、知ってたのかよ。
俺は呂布の性格が手に取るように分かる。
奴はそんな小さい利益に拘る男じゃない。
それに俺は…人の傷口を抉るのが大好きな男だからな!」
燎原火と呂布、彼らが再び対峙するときが来た。
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他より長めになりましたが、私のオリキャラ嫌いが加速された回です。
小孟!てめー、三兄弟と趙雲の再会に水を差すな!
この回に限らず陳某氏は、実在の人物に嫌悪の矛先を向けさせないためか、
敢えてオリキャラが嫌われるように描いていると感じることがしばしば。
後の話になりますが、劉備と同じように、臥龍も小孟の魔の手にかかりそうになります。
あの野郎、燎原火が自分の知らない男と親しげに会話するのがそんなに嫌か。
(念のために言っておきますが、私は男です。変に深読みしないように)
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