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第二百五十七回 白門樓下 |
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小孟、曹操、夏侯惇、曹洪、司馬朗、老賈、賈逵、華佗 |
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曹軍将校1「主公の暗殺を企てた者がいる!」
「各部隊、すべての家屋を捜索せよ!」
曹軍将校2「急げ!出動だ!」
曹軍将校3「隅々まで調べろ!レンガ一つ、瓦一枚たりとも見落とすなよ!」
曹軍将校4「兵をもっと増やして、立入禁止区域を拡げろ!」
兵士たちでごった返す中に、司馬朗と老賈の姿があった。
老賈「大公子、こちらです」
司馬朗「老賈、状況はどうなってる?」
医者「どいた!どいた!」
老賈「大公子、あちらをご覧下され」
華佗の治療を受ける曹操。
司馬朗「曹操、生きていたのか」
「流石は華佗といったところか」
曹軍将校5「刺客はまだ生きているぞ!」
それを聞いて駆け出す司馬朗。
老賈「公子、落ち着きなされ!」
曹軍将校6「下がれ!下がれ!」
曹軍将校7「人が多すぎるぞ!あんまり押すんじゃない!」
小孟の弓を掲げた将校が叫ぶ。
曹軍将校5「刺客は宦官だ!」
曹軍兵士1「聞いたか?か…宦官だと!」
曹軍兵士2「生き残りがいたのか?」
司馬朗(小孟…)
「老賈、小孟の事は大勢の人間に知られている。彼が生きていたら我らの立場が危うくなる!」
「すぐ仲達に知らせて、一刻も早く徐州から離れるぞ!」
老賈「なりませぬ」
「ここで退けば、二公子の計画が水の泡ですぞ」
曹軍将校8「ゴホン!」
「青州の兄弟たちよ!聞いたか!」
「かの刺客が何者か聞いたか!」
「聞いたはずだ!お前たちは皆忘れてしまったのか!?」
「家族が餓死したことを覚えているか!?」
「我らを追い詰め黄巾賊に走らせたのが誰か覚えているか!?」
「暮らしが良くなって、苦難の日々を忘れてしまったのか!?」
「国家をこのような状況に陥れたのは誰だ!?これらすべて誰のせいだ!?」
一人の兵士が進み出て叫んだ。
曹軍兵士3「あのときの誓いは一字一句たりとも忘れん!」
「忘れるものかよ!」
「宦官を滅ぼす!死んでも忘れんぞ!」
曹軍兵士4「そうだ!十常侍一党を根絶やしにする!この誓いは絶対に忘れねえ!」
兵士たち「宦官を滅ぼせ!」
「宦官を殺せ!」
「宦官を殺せ!」
「宦官を殺せ!」
「一人も生かしておくな!」
司馬朗(扇動された!?)
兵士たち「宦官は全員悪党だ!」
司馬朗「!」
扇動者の側に現れた男を見て、何かに気づく司馬朗。
老賈「小孟は救えませぬ」
「たとえ生き延びても苦しみが増すだけ」
「二公子の計画は手段を選んではならんのです。ゆめゆめお忘れなきよう」
「大公子、お分かりですかな?」
曹操の下に詰め寄せる兵士たち。
兵士たち「主公!あの宦官を殺すお許しを下さい!」
「主公!奴らをこの世にのさばらせてはなりませんぞ!」
「主公!我らにご命令を!」
夏侯惇?「まずいな。青州兵が扇動されたか」
曹操「おまえたちはわしが何故止めなかったか怪しんでおるのだろう」
「考えなかったわけではないが恐いのだ」
「それも我ら曹家の出自が原因よ」
「曹家はもともと宦官の出。それにわしの祖父は朝廷で権勢を振るった宦官曹騰」
「我らが天下を取るには、宦官との問題をいくつも乗り越えねばならん」
「中でもわしが最も恐れるのは、我らと青州兵を離間する者が現れることだ」
「青州兵があれを殺せば、事態はますます悪化するかもしれん」
「あの宦官はこの問題の解決に利用する」
夏侯惇「行け」
伝令「主公より命令だ!かの者の血を以って死んでいった者たちへの弔いとする!」
曹軍兵士5「よっしゃあ!行くぞおめーら!」
兵士たち「行けー!」
華佗「曹大人、あの刺客は十常侍の一派ではなく…」
曹操「残兵の小孟」
「司馬家の刺客だ。違うか?」
華佗「曹大人、すでにご存知でしたか」
曹操「うむ、周到に用心したにもかかわらず、手抜かりがあったのが残念だが」
「お主はわしが司馬家を咎めないことが疑問なのだろう?」
「なぜなら奴らはすでにあの者と手を切っていたからな」
「そして」
「わしに暗殺に注意するよう喚起していた者こそ……」
「司馬懿だからな」
大勢の兵に囲まれ目を覚ます小孟。
小孟(私は…まだ生きてるのか…)
(天よ、あなたはまだ私を弄ぶのか)
「!」
(賈逵!)
(臭蟲が来ていたのか!)
(あの破壊に精通した臭蟲が!)
(彼がここにいる……)
(ということは…ということは…)
(公子は復讐を忘れてなんかいなかった!)
(公子は気概を失ってなかった!)
(ああ!私は一体何をやってるんだ?)
(こんな浅はかな事をするなんて)
(もう少しで大事を損ねるところだった!)
(私は大馬鹿者だ!)
(天下一の大馬鹿者だ!)
曹操の前に引き出される小孟。
小孟(公子、小孟は死んでも償いきれません)
(すいません!すいません!)
(公子、今までお世話になりました)
剣を振り下ろす曹操。
小孟の断末魔が城内に響き渡る。
耳をふさぎ泣きながら堪える司馬朗。
兵士たちが小孟に殺到する。
小孟(火兄、私はもう行くけど気にしないで)
(公子を責めちゃいけないよ)
(忘れないで。日は陰り、月は欠けるということを)
忘れないとも……
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賈逵のあだ名の"臭蟲"の意味がよくわかりません。
7巻での使われ方とは微妙にニュアンスが異なりそうですし。
意味的には「悪どい事ばかり思いつく奴」という感じなんでしょうか?
そして最後の「還記得……」。
ここは燎原火の台詞と見立てて訳しています。
違ってたらスマソ。
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